■ 失敗しない登山靴の選び方 ■

■ 低山ハイクか、高山ハイクか。いい靴選びの条件は目的別でもある。

D
Alpine>>>アルパイン
10本爪以上のアイゼンを装着するミドルクラスの冬山、残雪から厳冬期、氷壁クライミングまで、ハードな状況下で威力を発揮します。
C
Back packing>>>パックパッキング
荷物が重くなる縦走や足元が不安定なガレ場などに適しています。アッパーの革・ソールともしっかりしており、8本以下のアイゼンやシューズチェーンを使用した2000m以下の雪山や残雪期での使用が可能です。
B
Trekking>>>トレッキング
日帰や小里泊まりのトレッキング等に適しています。アッパーの革が足に馴染みやすく、歩きやすい適度なソールの堅さを備えたシリーズです。軽アイゼンやシューズチェーンを使用した低山雪山や残雪期での使用が可能です。
A
Hiking>>>ハイキング
尾瀬・上高地散策や日帰りハイキングに最適です。軽量でショック吸収に優れ、長時間の歩行でも疲れにくいのが特徴です。


LOWA SPSシステム:プロネーション/スピネーション
足首のケガを防止し、疲労を軽減。
歩行中、足首は内側に傾くプロネーション/外側に傾くスピネーションという運動を自然に行なっています。
しかしこの動きが過度になりすぎると足首のケガの原因になってしまいます。
LOWA SPSシステムでは登山中、足首が過度に傾くのを防ぐために靴底ミッドソールにサーモプラスチック
ウレタンを内臓。これにより不整地やガラ場などバランスをくずしやすい場面でもしっかりと地面をグリップ。
安定した歩行を可能にし、足首を捻挫などのケガから守ってくれます。
  プロネーション/Pronation

前足かかとが地面に着地する際、
バランスをとりながらショックを吸
収するため、足首は内側に傾く傾
向があります。
過度のプロネーションは、内くるぶ
しの後ろにある筋(後脛 骨筋)を
傷めてしまいます。
足首が内側に傾きすぎるのを防ぐ
ためにミッドソールより硬い材質で
あるサーモプラスチックウレタンを
かかと部内側に内臓。
  スピネーション/Supination

後足で地面を蹴りだす際、足首は
自然と外側に傾く傾向がありま
す。
過度のスピネーションは足首の捻
挫や靭帯にダメージを与える原因
になります。
足首が外側に傾きすぎるのを防ぐ
ためにミッドソールより硬い材質で
あるサーモプラスチックウレタンを
前部外側に内臓。

 ■ 登山に適さない靴とは?

  登山において、靴選びには徹底的にこだわる必要があります。
  登山靴の役割は「荷物を担ぐ」「足場が不安定」「登り下りがある」など、街中で履く靴とは全く違うからです。
  しかし最近は『登山靴の形はしているけれど登山には適さない靴』が、数多く出回っています。
  そこで『登山に適さない靴』とはどういう靴なのかを下記の項目でチェックしてみて下さい。


  ●アッパーフィット感のない靴
  ただ幅が広くゆったりしているだけの靴を履くと、最初は確かに楽で履きやすいと感じられるかもしれませんが、登山中に靴の中で足が動いてしまい、靴擦れの原因になります。
靴の内部に足の形状に合わせたパッドを入れた靴は、足を包み込むようなフィット感が得られ、靴擦れなどのトラブルもおきません。
   ◆ チェック
 
つま先からかかとにかけて、足の形状に合わせたパッドが靴の内部に入っているか?


  ●ベロのフィット感の悪い靴
  ベロ部分が足の甲にフィットしていない靴は、下りで足が前にズレてしまい指先を傷めてしまいます。
指先を傷める原因は、靴の幅やサイズだけではないのです。
足の甲部分は、骨格が複雑で血管の配置や筋肉の付き方が繊細なため、特に注意してみましょう。
   ◆ チェック
 
・甲の形状に合わせたパッドが入れてあるか?
・ベロが外側にずれないように内側に比べ外側のパッドを厚くしてあるか?
・ベロの付け根部分は段差ができないよう繊細に付けられているか?


  ●足首部がゴワゴワして硬い靴
  山歩きでは、足首はいろいろな方向に動くため、足首回りの足当たりが悪いと登り下りではスネやアキレス腱が、斜面を横切るときは スネの両サイドが痛くなって歩くどころではありません。
   ◆ チェック
 
足首回りのカフ(履き口)やベロの上部にはソフトなパッドが入れてあるか?


  ●ショック吸収機能の悪い靴
  下り坂では傾斜が急になるほど衝撃が大きくなり、ひざや腰を痛める原因になります。
地面の凹凸をダイレクトに足に伝えないミッドソールによる適度な衝撃吸収機能がたいへん重要です。またショック吸収力が柔らかすぎても着地の際、足元がグラつき不安定になってしまいますので注意してください。
   ◆ チェック
 
凹凸を足裏に感じないか?


  ●通気孔のない靴
  足の発汗によるムレが靴擦れやマメの原因になっています。
靴の通気システムは歩くたびに靴内部のムレを外に出し、新鮮な空気を内部に取り込むため靴擦れやマメができるのを防止してくれます。
   ◆ チェック
 
足首やベロ部分にムレを防ぐ通気孔があるか?


  ●足首の浅い靴
  「足首の深い靴はたいそうで歩きづらい」といいますが、短靴では足首を守ってくれません。不安定な足場やアップダウンの多い登山では足首をうちみや捻挫から守ってくれる深い靴のほうが安全です。
短靴はアップダウンの少ない整備された道に適しています。


  ●ねじれやすい靴
  斜面を横切る際や岩場などで靴がねじれてしまうと靴の踏ん張りがきかず、滑りやすく大変危険です。また踏ん張るために足の余分な力が必要となり、疲れやすくなってしまうのです。
   ◆ チェック
 
つま先とかかとを持って靴をねじってみる


  ●靴底が真中から曲がる靴
  人間の足は歩く時、指の付け根付近で曲がりますので靴も同じ場所で曲がらなければ、歩きづらく疲れる原因になってしまいます。
ただし、指の付け根から曲がってもカクンと折れるように曲がる靴はいけません。
   ◆ チェック
 
つま先とかかとを持って靴底を曲げてみる



靴の手入れ法

01

  山行きの前の安全点検
 使用頻度にかかわらず、ご使用前は必ず安全点検を行なってください。
●登山靴のミッドソールに採用されているポリウレタンや冬山用登山靴ツアーブーツに使われているプラスチック製品は、使用頻度に関係なく年数が経つと経年劣化し破損します。耐用年数は5年程度です。
(使用状況・保管状況によって短くなることがあります。)
ご使用前は、フックやD環・靴紐などを点検するとともに、靴のソールやミッドソールにハガレなどの異常がないか屈曲を繰り返したり、ペンチなどで軽く引っ張るなどして点検してください。長期間使用していない場合は特に入念に点検してください。異常があった場合には絶対に使用せず、もし山行き中に靴底が剥がれたり破損が生じた場合には、紐やテープ・針金などで応急処置をしてすみやかに下山してください。

●プラスチック製・革製アルパインブーツはツアースキー用に造られていません。ツアースキーには専用のツアーブーツをお使いください。

●革製登山靴は、サイドラバーの接着力を高めるためにアッパー革をバフがけしているため、接着際の革が傷ついているように見える場合がありますが使用上問題ありません。
●積雪期に使用する場合は、アイゼンの接着具合を確認してください。

02

  当たり前のことですが使用頻度
 使用回数が増えれば、それだけ登山靴も傷んできます。
●D環・フック・鳩目・靴紐に異常がないか、ソールやサイドラバーなどの剥離がないかを点検してください。
●アウトソール(靴底ゴム)が減ってきた場合は、ソール張替えの修理に出してください。耐用年数が経過した靴は、安全のために靴底が減っていなくても張替えや買い替えをお願いします。(LOWA ATCシリーズはソール張り替えできません。)

03

  使った後の汚れ
 山から帰ってからのお手入れの一番目は、汚れを落とすこと。
 汚れには登山靴を傷めるカビや細菌が含まれています。
 
●アッパー(革)部分の汚れは、やわらかい布で拭くかブラシで落としてください。
●靴底につまった泥や汚れは、ブラシやヘラで取り除いてくだしさい。
●汚れのひどい時には、専用の洗剤で洗ってください。その際、靴の内側は濡らさないように、注意してください。
●中性洗剤は靴を傷めますので使用しないでください。
●プラスチック製品にはベンジンやシンナーなどの溶剤は使用しないでください。

04

  使った後の湿気
 晴れた日の登山で登山靴の表面が湿っていなくても、靴の中には湿気が溜まっています。
 そのままの状態で保管すると、ハガレや劣化の原因になります。
 
●山から帰った後はインソール(中敷)を出して、別々に風通しの良い場所で最低2日以上陰干ししてください。
●雨天の登山で靴が濡れた場合、ストーブや直射日光で急激に乾かすと革やナイロンが固くなるため、変形し
たり、ソールが剥がれやすくなるなど靴が傷みます。風通しのよい場所で最低1週間以上陰干ししてください。
●早く乾かしたい場合は、新聞紙を詰め、まめに取り替えると効果的です。

05

  保管の天敵は高温・多湿
 登山靴の寿命は、保管状況によって大きく変わります。
 基本的に、人が快適に居られる場所は登山靴にとっても快適です。
 直射日光の当たらない風通しの良い場所が理想的です。
 
●高温多湿になる場所(ベランダや車のトランクなど)はもとより、押し入れや靴箱などで保管される場合であっても、定期的に風通しのよい場所で陰干ししてください。
●ビニール袋などによって密閉しないで保管してください。

 

なぜトラブルが起こるのか?